《interview》嵯峨美術大学(および嵯峨美術短期大学) 学長 : 森本 武

さて、少し遡って話を聞いて行きたいと思います。森本先生は、そもそもどういう過程を辿って大学の教授になったんですか?

僕はプロダクトデザインの仕事をしてて、生活デザインという領域に最初は助手として採用されたんや。デザイナーとして仕事してる中で・・・デザイナーというのは何か商品を作っていくものやんか?そのとき、いらん物作って売りつけようとしてる仕事が嫌やったわけよ。

 

ほうほう。

ほんまに要る物を作りたいけど、企業の側は、そこの所が分かってないというか・・・「儲かる」と思うもんしかやらへんというのが嫌で。そこで僕自身は「もっと根本的にデザインの世界を変えなあかんのちゃうかな?」と思って、(大学の先生を)やり始めたわけですよ。

 

そこから、先生の著書の「負のデザイン」が出てきたんですね。

あれは要するに「作らないデザイン」とか「止めさせるデザイン」とか「減らすデザイン」とか、そういうことを訴えたわけやけど、その辺が割りと色んなところで評価された。

 

あれって、教授になってから出した本じゃなかったでしたっけ?

違うよ。でもその本を出す前にそういった活動をしてたわけ。ちょっとした講演会や研究会をしたり、雑誌や新聞に書いたり。まだ若い時やけど、大学の先生になってからはテレビとかもやったりね。まだ講師レベルの時やけど。

 

発売:2010/9/20(1994初版)
 

へぇ、テレビにも出てたんですか?

無駄な事を省くという考え方から「節倹倶楽部」というものを作って、それで全国的に会員さんが増えて、テレビでも自分の番組持ったりしてやってたんよ。

 

凄いなぁ。

そやけど、それもまた僕のへそ曲がりな所が出て、テレビが信用できひんのが分って、嫌になってた。

 

何かあったんですか?

ほんまに腹立たしい事が多くて。収録されたインタビューなんかも、頻繁に一番大事な事がカットされる。時間が無いって言うてカットされるんやったらしょうがないけど。

 

それはテレビ局の編集者が理解していなかっただけじゃないんですか?

いや、僕がちょっと過激な事言うたら・・・例えばスポンサーに対して何か言うたら「失礼や!」みたいな事でカットされるし。プロデューサーはそういうとこ完全に意識しとるからね。

 

作為的なんですね。

そんなわけで生、ライブしかないおもったんですよ。

 

ライブでもやってたんですか?

やってましたよ。

 

今またそういう番組やってくださいよ。「ミニマリズム」とか流行ってるじゃないですか?

自分で言っちゃなんやけど、非常に早い時期にそんなような事をやってたね。それと「原発」の危険性と無駄についても「節電の暮らし」いう本を結構前に出してて、「クロワッサン」という雑誌が凄い早く取り上げてくれて。

 

-「節電の暮らし」は読めてないですけど、「負のデザイン」でも原発に反対するような事書いてましたよね?

書いたよ。ところが今、その原発がその時(節電の暮らし)に書いた通りややこしい事になってるわな。

 

恥ずかしいことに僕なんか事故起きるまで原発という言葉すら知りませんでした。

話を戻すと、結局「やりすぎてる社会」というか、「作りすぎてる社会」っていうのが嫌で、仕事をはじめて10年後くらいに「デザイナー廃業宣言」っていうハガキを関係者に書いて送ったんですよ。これからは作らせることじゃなくて「やめさせる」方に回ろうと。

 

そういうのをわざわざ出すところが凄いですね(笑)。

だから、そういう(作りすぎない)デザイナーを育てる為に美大で教えたいと思ったんですよ。メディアの方はさっき言ったような(意図的に編集される)事があってからは縁を切る事にして、一切取材拒否してたんや。

 

じゃあそれからはメディアには出てないんですか?

だいぶ取材拒否してた後で、1回久しぶりにNHKの方から連絡があって、ラジオの生放送やったよ。「先生がマスコミ嫌いなのは聞いてますが、生のラジオで1時間好きに話してもらえませんか?」という話やったから。それで渋谷の放送センターで1時間好き勝手にしゃべらせてもらった。

 

へぇー。NHKってお堅いイメージあるのになぁ。それ、何歳の時ですか?

いちばんやってたのは40代ぐらいやったかな。

 

けっこう長いこと尖ってますね(笑)。

そやけどね、今でもテレビを信用してない。 ちゃんとしたひともいるけど、金と名声が目当のひとが多いじゃないの。

 

そんな事言って大丈夫ですか?(笑)。

たしかにテレビは金はまあええんですよ。短い時間でも「え!?こんな貰ってええの?」って感じでね。普通の講演会とかやってたってしょぼいけど。

 

テレビで名前売れると講演会とかバンバン入ってくるでしょ?

そうそう、そこから派生して「テレビでお馴染みの」とか言うてね。講演料自体も上がるし。悪循環や。

 

テレビの力は凄いなぁ(笑)。

ただね、NHKは僕らのような大学の先生(文化人)というのに対してのギャラは安い。

 

・・・大丈夫ですか?色んなとこに矛先向いてません?(笑)。

まぁ何にしても、世の中の嘘臭さみたいなんをそこで勉強させてもらって、ある意味良かったなと思いますね。

 

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